【感情屋さん】
「あっ、感情屋さんだ。感情屋さーん! 感情ひとつ、くださいな」
「今日は、どんな感情をお望みかな」
「んーとね。人見知りな子が、キラキラ眩しいあの子から純度100%の『好き!』を向けられた時の感情!」
「運がいいね、入荷したばかりだよ」
「よかった! じゃあ お勘定」
「これは重いけど、ふわふわしてっからね。家に帰るまでに 飛ばされっちまわないよう気をつけて」
「はーい。ありがとう、感情屋さん!」
「まいどありぃ」
「感情屋さん、感情屋さん、こっちもひとつくださいな」
「はいはい、いらっしゃい。どんな感情も揃える、感情屋さんだよ。ほしい感情があるなら、何でもアタシに言ってごらん。さあほら、アンタはどんな感情を買いに来たんだい……」
#すこしふしぎ
「あっ、感情屋さんだ。感情屋さーん! 感情ひとつ、くださいな」
「今日は、どんな感情をお望みかな」
「んーとね。人見知りな子が、キラキラ眩しいあの子から純度100%の『好き!』を向けられた時の感情!」
「運がいいね、入荷したばかりだよ」
「よかった! じゃあ お勘定」
「これは重いけど、ふわふわしてっからね。家に帰るまでに 飛ばされっちまわないよう気をつけて」
「はーい。ありがとう、感情屋さん!」
「まいどありぃ」
「感情屋さん、感情屋さん、こっちもひとつくださいな」
「はいはい、いらっしゃい。どんな感情も揃える、感情屋さんだよ。ほしい感情があるなら、何でもアタシに言ってごらん。さあほら、アンタはどんな感情を買いに来たんだい……」
#すこしふしぎ
【感情屋さん】
「感情、感情、感情いらんかねぇ」
「あっ、感情屋さん!」
「感情くださーい!」
「はいよ、いらっしゃい。今日は軽いの重いの揃ってるよ」
「じゃあ"大好きなあの子に純度100%の『好き!』を向けられた時の感情"もある?」
「あるよ」
「やったぁ! それくださいな!」
「これは重いけど軽いからね。ふわふわ飛んでっちまわないよう気をつけな」
「はーい!」
「感情屋さん、私"幼い頃から尊敬してた目上の人に軽い口調で「よくやった」って言われたけどその裏にある心からの感心が伝わってきた時の感情"がほしいんだけど、ある?」
「ちょうど入荷したところだよ。運が良かったねぇ」
「よかった、今日中に用意しなきゃいけなかったの。一つください」
「これは軽さに加えてパチパチ弾けるから、気をつけて持って帰んな」
「はぁい」
「感情屋さん、まだありますか?」
「ちょっと難しい感情がほしいんだけど、あるかなぁ」
「はいはい、順番だよ。並んで並んで……」
「感情、感情、感情いらんかねぇ」
「あっ、感情屋さん!」
「感情くださーい!」
「はいよ、いらっしゃい。今日は軽いの重いの揃ってるよ」
「じゃあ"大好きなあの子に純度100%の『好き!』を向けられた時の感情"もある?」
「あるよ」
「やったぁ! それくださいな!」
「これは重いけど軽いからね。ふわふわ飛んでっちまわないよう気をつけな」
「はーい!」
「感情屋さん、私"幼い頃から尊敬してた目上の人に軽い口調で「よくやった」って言われたけどその裏にある心からの感心が伝わってきた時の感情"がほしいんだけど、ある?」
「ちょうど入荷したところだよ。運が良かったねぇ」
「よかった、今日中に用意しなきゃいけなかったの。一つください」
「これは軽さに加えてパチパチ弾けるから、気をつけて持って帰んな」
「はぁい」
「感情屋さん、まだありますか?」
「ちょっと難しい感情がほしいんだけど、あるかなぁ」
「はいはい、順番だよ。並んで並んで……」
【悪魔の囁き】
「ねえねえ知ってる?」
「今勉強会の最中だってことなら知ってる」
「悪魔ってすんごいイケボで囁くんだって」
「ええ、うそぉ」
「お、食いついた。さすが声オタ」
「イケボって、どんなイケボ?」
「そりゃもう、あなた好みのイケボですよ」
「ほんとにぃ?」
「ほんとほんと。試してみなよ」
「何したらいいの?」
「悪魔が唆してくるようなこと考えればいいよ。宿題せずに動画見ちゃおっかなーとか」
「うーん……」
「スマホ取り出して悩んでます」
「うーん……」
「指が止まってます!」
「うーん!」
「後一押し!」
「あっ、やばいやばいやばいやばいやばい!」
「きた! どうだった?」
「やばない? めっちゃくちゃイケボだったんだけど!!」
「でしょ〜? 私はノッブみたいな声だったんだけどさー」
「めちゃくちゃ土師孝也さんだった!!!!」
「しぃ〜っぶ」
「ねえねえ知ってる?」
「今勉強会の最中だってことなら知ってる」
「悪魔ってすんごいイケボで囁くんだって」
「ええ、うそぉ」
「お、食いついた。さすが声オタ」
「イケボって、どんなイケボ?」
「そりゃもう、あなた好みのイケボですよ」
「ほんとにぃ?」
「ほんとほんと。試してみなよ」
「何したらいいの?」
「悪魔が唆してくるようなこと考えればいいよ。宿題せずに動画見ちゃおっかなーとか」
「うーん……」
「スマホ取り出して悩んでます」
「うーん……」
「指が止まってます!」
「うーん!」
「後一押し!」
「あっ、やばいやばいやばいやばいやばい!」
「きた! どうだった?」
「やばない? めっちゃくちゃイケボだったんだけど!!」
「でしょ〜? 私はノッブみたいな声だったんだけどさー」
「めちゃくちゃ土師孝也さんだった!!!!」
「しぃ〜っぶ」
花詩言葉
囁きの丘、という場所がある。そこではたくさんの花々が、場所を問わず、季節を問わず咲いている。
風が吹き花が揺れると、あなたは話し声を聞くだろう。秘密の話をするような、密やかな声を聞くだろう。
よく耳を傾けてみるといい。囁きの丘の花々は、特定の言葉のみ話すのだ。
花は物言わぬ生き物だ。しかし人は、そんな花に、声にしがたい思いを托した。それは情熱的な恋心だったり、どす黒い復讐心だったり、どこまでも優しい厚情だったりと様々だ。
托された思いが嬉しくて、托された思いが切なくて、花たちは自分に与えられた花言葉を囁き続ける。
自分に托された言葉が色あせないように。
自分に托された言葉が伝わるように。
囁きの丘では、今日も花たちが託された思いを囁いている。
#poem
囁きの丘、という場所がある。そこではたくさんの花々が、場所を問わず、季節を問わず咲いている。
風が吹き花が揺れると、あなたは話し声を聞くだろう。秘密の話をするような、密やかな声を聞くだろう。
よく耳を傾けてみるといい。囁きの丘の花々は、特定の言葉のみ話すのだ。
花は物言わぬ生き物だ。しかし人は、そんな花に、声にしがたい思いを托した。それは情熱的な恋心だったり、どす黒い復讐心だったり、どこまでも優しい厚情だったりと様々だ。
托された思いが嬉しくて、托された思いが切なくて、花たちは自分に与えられた花言葉を囁き続ける。
自分に托された言葉が色あせないように。
自分に托された言葉が伝わるように。
囁きの丘では、今日も花たちが託された思いを囁いている。
#poem
「ぶんちゃっちゃーぶんちゃっちゃー」
「呼び出したくせにピアノ弾いてやがる」
「ちょっと黙ってて!」
「しかもエアピアノ」
「ご静粛に!」
「あんだよぉ、用がないなら呼び出すなよぉ」
「ぶんちゃっちゃーぶんちゃっちゃー」
「いつまで前奏やってんのさ」
「わたしはーみこちゃんがーだいすきだよー」
「は?」
「ちょっとーくちがーわるいけどーみこちゃんやさしくてーすきだよー」
「はぁ? あっははは、何それ!」
「みこちゃんのーわらったかおーだいすきーだーよー」
「はいはい、ちょっと変わって」
ぽろろん
「わたしもーさなのことがーすきーだよー」
「きゃー嬉しい!」
「はいはい、お静かに」
#百合
「呼び出したくせにピアノ弾いてやがる」
「ちょっと黙ってて!」
「しかもエアピアノ」
「ご静粛に!」
「あんだよぉ、用がないなら呼び出すなよぉ」
「ぶんちゃっちゃーぶんちゃっちゃー」
「いつまで前奏やってんのさ」
「わたしはーみこちゃんがーだいすきだよー」
「は?」
「ちょっとーくちがーわるいけどーみこちゃんやさしくてーすきだよー」
「はぁ? あっははは、何それ!」
「みこちゃんのーわらったかおーだいすきーだーよー」
「はいはい、ちょっと変わって」
ぽろろん
「わたしもーさなのことがーすきーだよー」
「きゃー嬉しい!」
「はいはい、お静かに」
#百合
「あ」
「なに?」
「オバケのオバケだ」
オバケのオバケ
「何それ」
「隠れなきゃ」
「引っ張らないで、お兄ちゃん」
「しー。静かに」
「押入れ? やだよ、怖いよ、汚いよ」
「見つかるよりマシだよ。よいしょ」
「オバケのオバケって何なの? 押入れに入んなきゃいけないくらい怖いの?」
「そうだよ。じーちゃんが言ってた。オバケのオバケに見つかると食われるぞって」
「これだからじーちゃんちに来るのやだったのに」
「大丈夫、見つからなければどこかに行くよ」
「見つかったらどうなるの?」
「食べられちゃう」
「オバケなのに?」
「オバケのオバケだよ」
「だからそれって何なの?」
「オバケのオバケはね、昔、悪いオバケだったんだ。だからじーちゃんのじーちゃんの、そのまたじーちゃんが退治したんだよ」
「でもまだいるよ」
「うん。退治されたのを恨んで、オバケのオバケになったんだ」
「お兄ちゃん、オバケが何か探してるみたいだよ」
「じーちゃんのじーちゃんのそのまたじーちゃんの子孫、つまり僕らを探してるんじゃないかな。じーちゃんたちは寄り合いに出てるし、父さんたちは仕事だから」
「押入れにいたら見つかっちゃうよ、外に出ようよ」
「大丈夫、じーちゃんがお札を貼ってくれてるはずだよ」
「それってこれ?」
「うん」
「破れてる」
「古かったみたいだね」
「お兄ちゃん」
「あ」
*どたどた走ってくる足音*
「見つかった」
*バタン、と閉まる音*伏せる
#ホラー
「なに?」
「オバケのオバケだ」
オバケのオバケ
「何それ」
「隠れなきゃ」
「引っ張らないで、お兄ちゃん」
「しー。静かに」
「押入れ? やだよ、怖いよ、汚いよ」
「見つかるよりマシだよ。よいしょ」
「オバケのオバケって何なの? 押入れに入んなきゃいけないくらい怖いの?」
「そうだよ。じーちゃんが言ってた。オバケのオバケに見つかると食われるぞって」
「これだからじーちゃんちに来るのやだったのに」
「大丈夫、見つからなければどこかに行くよ」
「見つかったらどうなるの?」
「食べられちゃう」
「オバケなのに?」
「オバケのオバケだよ」
「だからそれって何なの?」
「オバケのオバケはね、昔、悪いオバケだったんだ。だからじーちゃんのじーちゃんの、そのまたじーちゃんが退治したんだよ」
「でもまだいるよ」
「うん。退治されたのを恨んで、オバケのオバケになったんだ」
「お兄ちゃん、オバケが何か探してるみたいだよ」
「じーちゃんのじーちゃんのそのまたじーちゃんの子孫、つまり僕らを探してるんじゃないかな。じーちゃんたちは寄り合いに出てるし、父さんたちは仕事だから」
「押入れにいたら見つかっちゃうよ、外に出ようよ」
「大丈夫、じーちゃんがお札を貼ってくれてるはずだよ」
「それってこれ?」
「うん」
「破れてる」
「古かったみたいだね」
「お兄ちゃん」
「あ」
*どたどた走ってくる足音*
「見つかった」
*バタン、と閉まる音*伏せる
#ホラー
【怪物の夢を見た】
怪物の夢を見た。恐ろしい見た目だった。皮膚が爛れて顔が溶け落ち、地鳴りのような声で唸ってた。暗くてジメジメした場所で蹲っていた。怪物の皮膚が爛れるのは、顔が溶けるのは、自分の体から滲み出る毒のせいだ。唸るのは、体が溶ける痛みのせいだ。夢の中の私はそれを知っていた。だけど何にもしてやれない。怪物のそばに跪き、滲む毒を拭ってやるしかできない。拭いながら謝った。私が何をした訳でもないし、謝ったところで怪物の痛みは癒えない。私の目から溢れた涙が、怪物の爛れた皮膚に落ちた。涙に奇跡は宿らず、皮膚を湿らせただけだった。痛むのか、怪物の目からも涙が落ちた。落ちた涙は地面を溶かし、嫌なにおいが立ち込めた。
#人外と人間
怪物の夢を見た。恐ろしい見た目だった。皮膚が爛れて顔が溶け落ち、地鳴りのような声で唸ってた。暗くてジメジメした場所で蹲っていた。怪物の皮膚が爛れるのは、顔が溶けるのは、自分の体から滲み出る毒のせいだ。唸るのは、体が溶ける痛みのせいだ。夢の中の私はそれを知っていた。だけど何にもしてやれない。怪物のそばに跪き、滲む毒を拭ってやるしかできない。拭いながら謝った。私が何をした訳でもないし、謝ったところで怪物の痛みは癒えない。私の目から溢れた涙が、怪物の爛れた皮膚に落ちた。涙に奇跡は宿らず、皮膚を湿らせただけだった。痛むのか、怪物の目からも涙が落ちた。落ちた涙は地面を溶かし、嫌なにおいが立ち込めた。
#人外と人間
【エイプリルフールに嘘つかない】
春休みの夜のこと。寝つけなくて、穂花を呼び出して待ち合わせて、煌々と明るい自販機前で話してた。何でそんな話になったのか、思い出せないけど、私は「嘘つかれるのってやだよね」とこぼした。穂花は「えっ」と声を上げ、数秒黙り込んだ。何を悩んでいるのかと見守っていたら、穂花は恐る恐るといった顔で私を見た。
「実は嘘ついてたんだけど……ほんとのこと言っても、結菜ちゃん引かない?」
普段の穂花を思い出す。破天荒で、何をしだすかわからなくて、常識が無くて、でも変なとこお堅い。そんな変人っぷりを思い出し、よく友達になれたなと苦笑いする。
「まあ、穂花が変なのは今更だし……嘘の一つや二つあっても引かないんじゃない?」
「ほんとっ?」
穂花の目が、きらっと光る。嬉しそうな穂花は私の手を取ると、にこにこ笑顔でこう言った。
「私ほんとは人外なの!」
すん、と冷めた顔になるのが、自分でもわかった。穂花の冗談はだいたいつまらない。私は穂花の手から自分の手を抜き、大きなため息をついた。
「またそんなつまんない嘘ついちゃって……」
「ほんとだもん! 見て見てー」
そう言った穂花は、自分のつむじをきゅっと摘まんだ。べりべりと音を立て、人間の〝皮〟が剥がれていく。その下からは、名状しがたい冒涜的外観の――。伏せる
#人外と人間 #百合
春休みの夜のこと。寝つけなくて、穂花を呼び出して待ち合わせて、煌々と明るい自販機前で話してた。何でそんな話になったのか、思い出せないけど、私は「嘘つかれるのってやだよね」とこぼした。穂花は「えっ」と声を上げ、数秒黙り込んだ。何を悩んでいるのかと見守っていたら、穂花は恐る恐るといった顔で私を見た。
「実は嘘ついてたんだけど……ほんとのこと言っても、結菜ちゃん引かない?」
普段の穂花を思い出す。破天荒で、何をしだすかわからなくて、常識が無くて、でも変なとこお堅い。そんな変人っぷりを思い出し、よく友達になれたなと苦笑いする。
「まあ、穂花が変なのは今更だし……嘘の一つや二つあっても引かないんじゃない?」
「ほんとっ?」
穂花の目が、きらっと光る。嬉しそうな穂花は私の手を取ると、にこにこ笑顔でこう言った。
「私ほんとは人外なの!」
すん、と冷めた顔になるのが、自分でもわかった。穂花の冗談はだいたいつまらない。私は穂花の手から自分の手を抜き、大きなため息をついた。
「またそんなつまんない嘘ついちゃって……」
「ほんとだもん! 見て見てー」
そう言った穂花は、自分のつむじをきゅっと摘まんだ。べりべりと音を立て、人間の〝皮〟が剥がれていく。その下からは、名状しがたい冒涜的外観の――。伏せる
#人外と人間 #百合
「ひえっひえ! 冷気が放出されてらぁ」
「冷気は放出されてるんじゃなく吸熱してるんだよ」
「お前のそーゆーとこが嫌い」
「冷気は放出されてるんじゃなく吸熱してるんだよ」
「お前のそーゆーとこが嫌い」
「雪が降ると、不思議と静かですね」
「そりゃそうよ。雪降らしさんだって、自分の仕事をよぉっく見て聞いてもらいたいだろうさ」
「雪が降る時のあの、しんしんという聞こえないはずの音。素敵ですもんね」
「たくさんの人に耳を澄ませてほしいんだろうねぇ」
「そうですねぇ」
「そりゃそうよ。雪降らしさんだって、自分の仕事をよぉっく見て聞いてもらいたいだろうさ」
「雪が降る時のあの、しんしんという聞こえないはずの音。素敵ですもんね」
「たくさんの人に耳を澄ませてほしいんだろうねぇ」
「そうですねぇ」
フェンスに囲まれたそこは墓場。蛇神様に食い散らかされた人々の骨が転がる。フェンスの向こうで、蛇神様が笑う。「おいで、可愛い子」脳を揺らす甘い声。思わず足が動きそうになる。行ってなるものかと、私は金網を掴む手に力を込めた。
#人外と人間
#人外と人間
「ちくちく言葉を言っていこう!」
「嫌すぎる」
「まずは私から! うに!!」
「ああ、ちくちく言葉ってそういう……」
「はい次!」
「サボテン」
「ハリネズミ!」
「薔薇」
「たわし!」
「んー、毬栗」
「剣山!!」
「もう浮かばないや」
「まだまだあるよ! くっつき虫!」
「確かに」
「トゲアリトゲナシトゲトゲ!」
「トゲあるの? ないの?」
「ある」
「あるんだ……」
#会話劇