雲晴夏木の独り言

#人外と人間 で100日かけて100本の掌編を書く? できらぁっ! の企画19日目ぇ!

Day.19 空想地図

 ある日のこと。宿題で調べ物をする必要があり、祖父の本棚で探し物をしていた。たくさん並ぶ本の中、私は分厚い図鑑の間に挟まれていた古びた紙を見つけた。大きさからして手紙ではないし、紙質からして大事な書類でもない。
 何だろうと思って開くと、私の字と祖父の字が混じる地図だった。
 背後から、レオが「懐かしいな」と覗き込む。
「きみの理想の街を、ヴィルヘルムが一緒に書いたものだよ」
 書いた記憶は一切ないけれど、クレヨンの筆跡は間違いなく私のもの。一体どんな街を作りたかったんだろうと、改めて地図に目を落とす。
 街の中を通る川には、三日月の橋。街の東側にある森のそばにはお星様の浮かぶ池。中央通りには、ほっぺが落ちるおいしいパン屋さん。商店街には、不思議なものを売る骨董品店。住宅地には滑り台のある大きな公園にゾウの形をした噴水。
 あれ、これって今の街にも覚えのある場所があるような……。
「私、もしかして予言の才能があったのかな……!?」
「さあ。予言か、それともこの地図が魔法の紙だったのか、どっちだろうね」
 愉快そうにレオは笑う。その顔を見て、私はこれが予言でも魔法の紙でも、どちらでも構わないと思えた。だってどちらにしたって、私の日常が平穏なことに変わりはないのだから。伏せる