雲晴夏木の独り言

#人外と人間 で100日かけて100本の掌編を書くぞ企画とうとう20日目!

Day.20 赤い花

 街のお祭りで、花売りさんがいた。まだ五つ程度の可愛らしい花売りさんだ。
「おはな、いかがですかっ」
「ありがとう。一つくれる?」
「はい!」
 硬貨と引き換えに受け取った白い花を、家に持ち帰り、鏡の前で髪に挿す。
 途端、レオが蜃気楼のように現れた。その顔はむすりと不服そうなで、たてがみは生きているようにうねっている。
「レオ、たてがみがうねうねしてる」
「不満だからね」
「何が?」
「きみが、私以外からそうして花を受け取ったことだよ」
 そう言って、レオは私の髪から花を抜き、ぽいと捨ててしまった。花は床に落ちる前に、まるで灰のように消えてしまった。
 白い花の代わりに、レオの手には赤い花。出会った日にも同じ花を出していた。
 レオはそれを丁寧に私の髪に挿した。
「きみには白よりも、赤が似合うと思う。よく映えているよ」
 金色の目に燃えるような感情が浮かんでいるのがわかり、私は咄嗟に目を伏せた。
「あ……ありがとう、レオ」
 お礼を言うのすら恥ずかしくなり、私はレオの顔を見上げられなかった。頬はかっかと熱を持ち始め、耳まで熱く鳴り出した。
 そんな私を見て、レオは喉をゴロゴロ鳴らし笑っていた。伏せる