雲晴夏木の独り言

#人外と人間 で100日かけて100本の掌編を書こう21日目。

Day.21 一番星は占い師


 最近、街で流行っている噂がある。
『一番星を街で一番に見ると明日を占ってもらえる』
 何を占ってもらえるんだろう。どんなことを占ってもらうんだろう。
 占ってほしいことなんて特にないくせに、一番星の占いなんて不思議なものが気になって、一番を狙ってみることにした。……のはいいのだけれど、街で一番最初に一番星を見つけるなんて、なかなかの至難の業。ましてや噂のせいで、誰も彼も空を見上げてる。
 空に星が見えても、一番はすでに誰かのもの。占う声は聞こえやしない。
 部屋の窓を閉めながら、私はため息をついた。
「今日も一番じゃなかったみたい」
「きみがそんなものに興味があるとも輪なかったな。そんなに占ってほしいのかい?」
「そういうわけでもないけど……」
 気になるんだもの、と唇を尖らせた翌日、日の暮れる頃のこと。私が窓を開ける前に、レオがぱちりと指を鳴らした。
「街の時を止めたから、今ならきみが一番乗りだ」
 レオが時間を止めることまでできるとは思わなかった。私はレオにお礼を言って、空に輝く一番星を探した。
「あ、見つけた」
 声に出した途端、見つけた一番星がぐんぐん近づいてくる。空から落ちる流れ星のように、輝く尾を引いてこちらに向かってやってくる。
 そうして鼻先まで近づいた一番星には、年老いた顔が浮かんでいた。思わず息を呑む私に、人間の顔を持つ一番星は私の明日を占った。
「明日、鏡の中の自分に気をつけよ」
 一番星はそう言うと、きらめく尾を引き空へと戻っていった。レオが再び指を鳴らす。時間が動き出したのか、私にはわからない。けれど忘れていた呼吸は思い出せた。
「それで、何を言われたんだい?」
 レオには一番星の声が聞こえなかったらしい。私は「大したことないの」と首を振り、明日は鏡に近づかないでおこうと決めた。
伏せる