囁きの丘、という場所がある。そこではたくさんの花々が、場所を問わず、季節を問わず咲いている。
風が吹き花が揺れると、あなたは話し声を聞くだろう。秘密の話をするような、密やかな声を聞くだろう。
よく耳を傾けてみるといい。囁きの丘の花々は、特定の言葉のみ話すのだ。
花は物言わぬ生き物だ。しかし人は、そんな花に、声にしがたい思いを托した。それは情熱的な恋心だったり、どす黒い復讐心だったり、どこまでも優しい厚情だったりと様々だ。
托された思いが嬉しくて、托された思いが切なくて、花たちは自分に与えられた花言葉を囁き続ける。
自分に托された言葉が色あせないように。
自分に托された言葉が伝わるように。
囁きの丘では、今日も花たちが託された思いを囁いている。