春休みの夜のこと。寝つけなくて、穂花を呼び出して待ち合わせて、煌々と明るい自販機前で話してた。何でそんな話になったのか、思い出せないけど、私は「嘘つかれるのってやだよね」とこぼした。穂花は「えっ」と声を上げ、数秒黙り込んだ。何を悩んでいるのかと見守っていたら、穂花は恐る恐るといった顔で私を見た。
「実は嘘ついてたんだけど……ほんとのこと言っても、結菜ちゃん引かない?」
普段の穂花を思い出す。破天荒で、何をしだすかわからなくて、常識が無くて、でも変なとこお堅い。そんな変人っぷりを思い出し、よく友達になれたなと苦笑いする。
「まあ、穂花が変なのは今更だし……嘘の一つや二つあっても引かないんじゃない?」 「ほんとっ?」
穂花の目が、きらっと光る。嬉しそうな穂花は私の手を取ると、にこにこ笑顔でこう言った。
「私ほんとは人外なの!」
すん、と冷めた顔になるのが、自分でもわかった。穂花の冗談はだいたいつまらない。私は穂花の手から自分の手を抜き、大きなため息をついた。
「またそんなつまんない嘘ついちゃって……」 「ほんとだもん! 見て見てー」
そう言った穂花は、自分のつむじをきゅっと摘まんだ。べりべりと音を立て、人間の〝皮〟が剥がれていく。その下からは、名状しがたい冒涜的外観の――。